ほるたま展2020 よみがえる栗橋宿

 

 

 県立さきたま史跡の博物館では、公益財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団と共催で、「ほるたま展2020 よみがえる栗橋宿」を開催します。

 公益財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団は、設立以来40年にわたり埼玉県内で数多くの発掘調査を行ってきました。平成24年以降は、久喜市栗橋地区に所在する栗橋宿跡の発掘調査を継続的に行っています。

 徳川幕府は政治と経済の大動脈として、江戸と全国各地をむすぶ道路網「五街道」を整備しました。それらのひとつであり江戸と日光坊中をむすんでいたのが「日光道中」で、栗橋宿はその江戸から数えて七番目の宿にあたります。利根川の渡河点であり日光道中最大の難所とされた栗橋宿には地域の経済の要である河岸が設けられ、人の流れに眼を光らせる関所が置かれました。

 考古学と言うと、気の遠くなるほどはるか昔のことを研究する学問だと思われがちです。しかし、江戸や明治といった比較的新しい時代の遺跡を調べることで、公的な文献記録には残りにくい庶民の生活や社会の仕組みを解き明かしていくことも大事な役割のひとつなのです。

 今回の展示では、一連の発掘調査を通して明らかになった宿場町のたたずまいや、そこに生きた人々の暮らしの一端をご覧いただきます。

 ※ほるたま展は平成17年以降県内数カ所の集客施設等で開催されている巡回展で、「ほるたま」とは「埼玉を掘る」の意味です。

 

1 会期

  

  令和3年2月27日(土)~令和3年5月9日(日)

 

2 開館時間・休館日

 

  開館時間 9時00分~16時30分 (入館は16時まで)

  ※休館日:月曜日(5月3日は開館)

 

3 会場

  

  県立さきたま史跡の博物館 企画展示室 (行田市埼玉4834)

 

4 観覧料等

 

  一般200円(120円)、高校生・学生100円(60円)

  ※( )内は20名以上の団体料金

  中学生以下、障害者手帳をお持ちの方(付添1名含む)は無料

 

 

5 主な展示内容

  

 

 (1) 導入~災害を越えて

 栗橋宿跡の発掘調査は、首都圏を水害から護るための堤防強化事業の一環として始められました。奇しくもそこから見えてきたのは、火災や水害など繰り返される災害と、そのたびに粘り強く復興してきた町の姿だったのです。

 被熱した瓦・陶磁器など

 

 (2) 栗橋に宿場のあった頃

 日光東照宮に社参する徳川将軍も通過した宿場町であった栗橋には、大名などの貴人の一行が宿泊する本陣が置かれました。そこからは、普通の町屋の跡からは出土しない高級な陶磁器のセットが出土しました。

 本陣の鬼瓦、磁器皿など

 

 (3) 貨幣

 江戸時代には今日に通じる経済の仕組みが整えられ、日本人の誰もが貨幣を使って物の売り買いをするようになりました。

 遺跡を掘ったら山吹色をした大判小判がざくざく・・・などということはほとんどありませんが、それでも当時流通していた様々な貨幣が出土することは珍しくありません。

 宝永一分判(金貨)、南鐐(なんりょう)二朱銀など

 

 (4) 栗橋の食卓

 人の暮らしを語るうえで「食」の問題を避けて通ることはできません。陸海の交通網を通じて各地の食材が行き来し、今で言う料理本やグルメガイドが幾種類も出版された江戸時代は、まさに「食の時代」でもあったのです。

 磁器碗・皿、擂鉢、焜炉(こんろ)、魚骨など

 

 (5) 酒無くて・・・

 「酒無くて なんの己が桜かな(落語「長屋の花見」より)」

 江戸時代後期には米作りや醸造の技術革新が起こり、灘をはじめとする上方で清酒の生産が盛んになりました。「下り酒」「富士見酒」といった上方の酒が、海路を通じ関東にも大量にもたらされるようになります。

 それまで儀式の場でたしなまれていた酒が日常の景色の中に溶け込み、庶民の間にも宴会や、今で言う「宅飲み」の習慣が定着したのです。

 陶磁器圷、徳利など

 

 (6) お茶でも一服

喫茶の習慣が一般庶民に行きわたったのも江戸時代の出来事です。上流階級のたしなみのひとつとして抹茶=茶道が普及する一方、庶民は安価な茶葉を煮出した煎茶を楽しんでいました。栗橋宿からは抹茶・煎茶両方の茶道具が出土しています。

 陶磁器茶碗・茶壺・土瓶など

 

 (7) 晴れの日の装い

 徳川三百年と呼ばれる天下太平の時代、流通経済の発展により商人が力を持つようになると、都市部を中心にさまざまなファッションが流行します。

奔放にふるまう民衆に時の権力者は神経をとがらせ、何度も奢侈(ぜいたく)禁止令を出しました。それでも着物の裏地に凝ったり、渋い色の組み合わせにこだわるなど、人々はたくましくしたたかにその身を飾っていました。

ここでは栗橋宿から出土した化粧道具やアクセサリーをご覧いただきます。

 紅坏(べにつき)、櫛、簪(かんざし)など

 

 

6 問い合わせ先

 

  埼玉県立さきたま史跡の博物館 資料・展示担当 

  〒361-0025 行田市埼玉4834

  電話:048-559-1181 FAX:048-559-1112

  ホームページ:https://sakitama-muse.spec.ed.jp/