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愛宕山古墳 現地見学会を開催しました/発掘調査③
2024年2月3日(土)に愛宕山古墳の現地見学会を開催しました。
数日前には雪が降ってしまいましたが、当日は晴天に恵まれ、計401名の方にご参加いただきました。多くのご参加ありがとうございました!
学芸員からは、調査の成果として、①周堀(内堀・外堀)を確認できたこと ②前方部で旧表土(古墳時代の地表面)及び中断テラスが確認できたこと ③前方部の墳丘の始まりや墳裾部を確認できたことを中心にお話ししました。
また、見学会では普段登ることのできない墳丘に登っていただくこともメインのひとつでした。普段と違った景色で古墳をご覧いただけたのではないかと思います。
見学会の様子1
見学会の様子2
見学会の様子3
さて、ブログにて発掘調査の様子をお伝えしてきましたが、発掘調査も終盤を迎え、今回で最後になります。
埋め戻しの様子
調査が終了したら、掘った土は埋め戻していきます。遺構保存のため墳丘に重機の立ち入りは禁止されています。そのため、墳丘の土は人力で埋め戻しています。
遺物洗浄の様子
これから出土遺物の観察や研究をするため、遺物についた土を丁寧に落としていきます。
前方部側完掘
見学会で発表した成果は今後の調査・研究でさらに検討を加えていき、最終的な成果は報告書やまた別の形で皆様にご紹介したいと思います。
(史跡整備担当)
愛宕山古墳、発掘中です!② ★
今年も新年早々、発掘調査が始まっています。
今回の調査は墳丘南側(前方部側)の周堀と墳丘北側(後円部側)の墳裾の範囲を確認することが目的ですが、墳丘南側の周堀はほぼ調査が完了しました。
重機で掘削した後、遺構面を確認するために移植ゴテ(=園芸などで使用する小さなスコップ)、ガリ(または三角など呼び方は様々あります)、鋤簾(ジョレン)などの道具を駆使してきれいにしていきます。
(精査作業の様子)
すると...
(遺構検出状況)
写真だと少しわかりづらいですが、画面右と左で土の色の違いがわかるでしょうか。左のほうが黒っぽい土ですね。そして中央奥に逆三角形でまた少し違う土があります。
マーカーで記すとこんな感じになります。↓
遺構検出状況2
昭和56年の調査成果の図面と照らし合わせると、これらの遺構が中堤・外堀・外堀を壊す新しい溝ということが明らかになりました。前回の調査で見つかった遺構の続きが検出されたことは今回の成果のひとつです。
また、墳丘側には内堀も確認されましたが、新しい時期の溝がいくつか入り込んでおり、墳丘の立ち上がりと内堀との境はまだ検討中です。
一方、内堀からは埴輪片がある程度まとまって出土しました。内堀は墳丘に近いため、崩れ落ちてきた破片が溜まりやすいのだと思われます。
発掘調査は、平面だけではなく断面も大切な情報となります。平面的に遺構が確認出来たら、掘削しながらどのように土が堆積したのかを断面で確認していきます。
(図面作成の様子)
年明けからは前方部の墳丘をメインに掘削していきます。旧表土(=古墳築造当時の地表面)、埴輪列(=埴輪が並んでいた痕跡)、テラス(=墳丘の途中にある、埴輪が並べられていた平坦な部分)を確認することが目標です。
(前方部墳丘掘削状況)
墳丘は中軸から東側に1m幅で広げました。ここから慎重に掘り下げ、築造当初の面を確認します。
早いもので調査もあと2か月を切りました。風の強い時期になりますが、引き続き調査を進めていきたいと思います!
なお、今回ご紹介した成果は現段階の所見で、今後調査の進展や整理作業の過程で調査見解が変わる可能性もあります。何卒ご了承ください。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
(史跡整備担当)
ブログ読者プレゼント「国宝を集めよう!」⑦
今回の国宝は「銀環」です。
これまで記事で紹介した国宝7点を覚えてクイズに答えると、先着20名の方にプレゼントが当たります!
(プレゼントは終了しました)
企画概要は下のページをチェック!
https://sakitama-muse.spec.ed.jp/blogpresent_kokuhou
愛宕山古墳、発掘中です!
11月1日から愛宕山古墳の発掘調査がはじまりました。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、愛宕山古墳は埼玉古墳群の中で最小の前方後円墳で、墳丘全長が54.7mです。同じく埼玉古墳群の中にある二子山古墳は武蔵国で最大の前方後円墳で、墳丘全長が132.2mもあります。比べてみるとその差がよくわかります。
昭和56年に埼玉県教育委員会と行田市教育委員会によって2回調査が行われており、前方部南側調査区の東南部では内堀のコーナー部が確認されています。
下記URLより報告書をご覧いただけますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
1985_埼玉古墳群発掘調査報告書第三集_愛宕山古墳_埼玉県教育委員会.pdf
令和3年度には墳丘西側の調査が行われましたが、後世に改変を受けており、西側の外堀、内堀、造出し(=葬送儀礼の場と考えられる、墳丘に取り付く突出部)は確認できませんでした。しかし、2つのトレンチから旧表土(=古墳築造当時の地表面)を確認することができました。
赤線間の層と上下の層で土色が異なることがわかるでしょうか?この赤線間の黒っぽい層が旧表土です。ここを境に上部が盛土で下部が地山(=人為的な手が加えられていない、基盤となる土層)です。
そして今年度の調査では、墳丘南側(前方部)の周堀と墳丘北側(後円部)の墳裾の範囲を確認します。
初日は、重機を使って「表土掘削」を行いました。新しい時期の表土を剥いで、遺構を確認します。
遺構を壊さないように、学芸員立会いのもと慎重に掘り下げていきます。
表土剥ぎが終わったら、遺構をしっかりと確認するためにトレンチの壁と床をきれいにします。これを精査と呼んでいます。
精査の様子
こちらは土のう作りの様子です。土のうは、専用の袋に土を入れて縛ったもので、ブルーシートが飛ばないようにおもりとして使用したり、深く掘ったトレンチで階段として使用するなど、発掘現場では欠かせません。
今回は愛宕山古墳の概要と調査の駆け出し部分をお伝えしました。
まだまだ始まったばかりなので、今後も調査の様子をお届けします!
愛宕山古墳発掘調査開始です!
いよいよ本日から発掘調査が始まります!
今回は、発掘調査を開始する前の準備の様子をお届けします。
発掘は事前の準備がとても大切で、計画を入れると数年前から決まっていることもあります。
今年度の発掘についても、どこを・どのような目的で・どのように掘るのかを検討してきました。もちろんこれは学芸員だけでなく、大学の先生方や有識者の方々にご指導いただいています。
そして、発掘で使用する機材や重機の契約も大切なお仕事です。つまり、発掘に至るまでには事務業務も多々あります。
こちらは、機材置き場と休憩所の設営風景です。
休憩所設営
普段あまり使用しない場所なので、土埃や虫が...。作業員さんに快適に過ごしてもらえるよう、きれいにしました!
さて、こちらは10月中旬の愛宕山古墳の様子です。
(草刈り前) 南西から撮影(草刈り前) 北西から撮影
草が延びてしまっています。これでは土を掘ることができないので、専門の業者の方に草刈りをしてもらいました。
こちらが現在の様子です。
(草刈り後) 南西から撮影(草刈り後) 北西から撮影
すっきりしました!
こちらは安全対策としてネットを張っている様子です。
安全対策
発掘が始まると深い穴(トレンチ)を掘ることになるので、間違って入ってしまわないようにネットで囲みます。
最後は、調査区設定の様子です。
調査区設定
調査区設定は、左奥にみえる機械を使用して調査する場所に目印を付ける作業です。
さあ、これでいよいよ発掘が開始できます!
今後は調査の様子をお届けします。お楽しみに!
(史跡整備担当)
2年ぶりの愛宕山古墳の発掘調査始まる!
11月から愛宕山古墳の範囲確認と保存状況を確認するための発掘調査を行います。
今回は令和3年度から2年ぶりの発掘調査で、これまで未調査だった前方部南側及び周堀南側(かつてお店があった場所)が対象です。
調査に当たっては近隣や公園利用者に配慮し、安全に作業を進めてまいります。
なお、発掘調査現場内は大変危険ですので、立ち入りはご遠慮ください。ご理解ご協力のほどよろしくお願いします。
1.調査期間 令和5年11月1日(水)~令和6年2月29日(木)
2.調査地点 愛宕山古墳
3.調査日時 各週の火・水・金曜日の9:00~16:00まで
(調査の進捗や天候状況により、変更することがあります)
どんな発見があるか私たちも楽しみです!
休館中ブログにて調査の様子をお伝えしていく予定ですので、引き続きよろしくお願いします。
(史跡整備担当)
現場に関するお問合せ
埼玉県立さきたま史跡の博物館 史跡整備担当
TEL 048‐559‐1181