愛宕山古墳、発掘中です!       

 11月1日から愛宕山古墳の発掘調査がはじまりました。

 ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、愛宕山古墳は埼玉古墳群の中で最小の前方後円墳で、墳丘全長が54.7mです。同じく埼玉古墳群の中にある二子山古墳は武蔵国で最大の前方後円墳で、墳丘全長が132.2mもあります。比べてみるとその差がよくわかります。

 昭和56年に埼玉県教育委員会と行田市教育委員会によって2回調査が行われており、前方部南側調査区の東南部では内堀のコーナー部が確認されています。

 下記URLより報告書をご覧いただけますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

1985_埼玉古墳群発掘調査報告書第三集_愛宕山古墳_埼玉県教育委員会.pdf

 

 

 令和3年度には墳丘西側の調査が行われましたが、後世に改変を受けており、西側の外堀、内堀、造出し(=葬送儀礼の場と考えられる、墳丘に取り付く突出部)は確認できませんでした。しかし、2つのトレンチから旧表土(=古墳築造当時の地表面)を確認することができました。

 

 

 赤線間の層と上下の層で土色が異なることがわかるでしょうか?この赤線間の黒っぽい層が旧表土です。ここを境に上部が盛土で下部が地山(=人為的な手が加えられていない、基盤となる土層)です。

 

 

 そして今年度の調査では、墳丘南側(前方部)の周堀と墳丘北側(後円部)の墳裾の範囲を確認します。

 初日は、重機を使って「表土掘削」を行いました。新しい時期の表土を剥いで、遺構を確認します。

 

 遺構を壊さないように、学芸員立会いのもと慎重に掘り下げていきます。

 

 表土剥ぎが終わったら、遺構をしっかりと確認するためにトレンチの壁と床をきれいにします。これを精査と呼んでいます。

 精査の様子

      精査の様子

 

 

 こちらは土のう作りの様子です。土のうは、専用の袋に土を入れて縛ったもので、ブルーシートが飛ばないようにおもりとして使用したり、深く掘ったトレンチで階段として使用するなど、発掘現場では欠かせません。

土のう 土のうづくりの様子

 

今回は愛宕山古墳の概要と調査の駆け出し部分をお伝えしました。

 


まだまだ始まったばかりなので、今後も調査の様子をお届けします!