休館中ブログ

シンポジウムが開催されました ★

 11月18日(土)にシンポジウム『6世紀の東国史と埼玉二子山古墳-最新成果から描く継体朝前後の東日本-』が行田市教育文化センター「みらい」にて開催されました。

 当日は314名の方にご来場いただき、大盛況のうちに終了しました。たくさんのご来場、誠にありがとうございました!

 

 今回のシンポジウムは、武蔵国で最大規模の前方後円墳である埼玉二子山古墳の報告書刊行を記念して発案されました。

 コーディネートは、二子山古墳の発掘調査をはじめ埼玉古墳群の保存整備のご指導をいただいている、明治大学文学部教授の若狭徹先生にお務めいただきました。

若狭先生 開催趣旨説明

若狭先生 開催趣旨説明

 

 

 二子山古墳はこれまで築造時期が確定されておらず、5世紀後半から6世前半とまでしか想定できていませんでした。しかし、平成25年から始まった発掘調査と整理成果から、6世紀前半の築造であることが確定しました。

 

 6世紀前半は、「継体天皇」の時代にあたります。そして同時期に造られた古墳としては、今城塚古墳(大阪府高槻市)や断夫山古墳(愛知県名古屋市)、七輿山古墳(群馬県藤岡市)などがあげられます。

 

 シンポジウムでは、これらの古墳の最新調査成果や文献史料の研究成果といった広い視野から埼玉二子山古墳が築かれた時代についてお話しいただきました。 総合討議の様子。

総合討議の様子

シンポジウムの内容は以下のとおりです。

「埼玉古墳群の中の二子山古墳-最新の調査成果から-」

                 埼玉県教育局文化資源課 ナワビ矢麻主任

「大王墓 今城塚古墳の実像-最新の整理成果をもとに-」

          高槻市立埋蔵文化財調査センター学芸員   今西康宏氏

「断夫山古墳、尾張連氏とその周辺」

         愛知県埋蔵文化財センター調査研究専門員   早野浩二氏

「埼玉二子山古墳の墳丘とその意義」

                早稲田大学文学学術院教授  城倉正祥先生

「6世紀前半の倭王権と東国豪族」

                関東学院大学経済学部教授  河内春人先生

「古墳からみた継体朝期の東国像」

                   明治大学文学部教授   若狭徹先生

 

 

 講演の後には、コーディネーターの若狭先生を中心として、総合討議が行われました。はじめに駒澤大学講師の藤野一之先生に「二子山古墳出土土器からみる6世紀の葬送儀礼」としてお話しいただき、各先生から講演では話しきれなかった深い内容まで討論されました。

 

 

なお、本シンポジウムの当日資料は以下より通信販売も行っております。ご興味のある方は以下よりお申込みください。

 

通信販売の申込方法について

※数量に限りがあるため、完売となった際は何卒ご了承ください。

 

(史跡整備担当)


ブログ読者プレゼント「国宝を集めよう!」①

「国宝を集めよう!」バナー画像。

今回の国宝は「三環鈴」です。

三環鈴

今後の記事で発表される国宝7点を覚えてクイズに答えると、先着20名の方にプレゼントが当たります!

企画概要は下のページをチェック!

https://sakitama-muse.spec.ed.jp/blogpresent_kokuhou

研修会に参加しました。      

 先月、埼玉県博物館連絡協議会東・北部地域連絡協議会主催による研修会が開催されました。

 

 「埼玉県博物館連絡協議会」とは、会員相互の交流と連携を目的に、県内81か所(令和5年度現在)の博物館関連施設が加盟する団体で、現在県内4つの地域協議会(南部、西部、東・北部、秩父)に分かれてそれぞれが活動を行っています。さきたま史跡の博物館が所属する東・北部地域連絡協議会(24か所が所属)では、例年夏から秋にかけてスタンプラリー事業、秋に研修会を行っています。

 

 今年度の秋の研修会は、宮代町にある日本工業大学工業技術博物館を会場に行われました。

研修会の様子。

展示見学の様子。

同博物館は、機械を作る機械「工作機械」をテーマにした博物館で、我が国産業の発展に貢献した歴史的価値の高い工作機械を中心に400点以上の工業製品を展示しています。研修では、日本工業大学客員教授の清水伸二館長より、工作機械を展示する意義と博物館の取組みについての講演の後、常設展示室で工作機械の動態展示や町工場の復元展示などを見学しました。

 

 今回の研修は、一見すると自分たちの博物館に直接つながりのない工作機械がテーマでしたが、近代日本の人々の生活に身近となった機械製品が生まれた背景を知る機会となり、当時の歴史や生活文化を改めて深く理解できました。また展示資料の分野は違っても、博物館に共通する課題を共有することができ、たいへん有意義な研修会となりました。

 

(kisamin。)

休館中の展示室の「いま」は?

令和5年9月1日から始まりました改修工事期間中の展示室の様子をご紹介します。

 

こちらは休館前の国宝展示室と企画展示室の様子です。

国宝展示室

企画展示室(企画展「二子山古墳と祈りの器」)

 

休館中は展示室内も工事を実施するため、展示ケース内の埴輪等を取り出し、ケース内を空にしました。

梱包した埴輪等(国宝展示室)

作業後の展示ケース(国宝展示室)梱包した埴輪等(企画展示室)

 

 

そして、9月下旬からは一部の展示ケースや床にはベニヤ板が張られ、工事が始まりました。

国宝展示室(養生後)

休館から3か月経った現在も展示室は照明や空調などの改修工事を実施中です。

 

(資料・展示担当)

「バーチャル埼玉」を知っていますか?        

 「バーチャル埼玉」は、今年の県民の日(11月14日)に立ち上がった新しいWebサイトです。

スマートフォンやパソコンから、3次元空間に入って埼玉県の魅力を体験することができます。

バーチャル埼玉 入場直後の画面。

バーチャル埼玉 入場直後の画面。

 

中央に表示されているのは、アバター(操作するためのキャラクター)です。タッチや右のボタンクリックで操作できます。

 

バーチャル埼玉内はいくつかのエリアに分かれており、空中歩行やクイズに挑戦などもできるようです。今回はその中から、当館も出展している「蔵造りブース」をご紹介します。

蔵造りブース

埼玉の誇る観光地・川越をイメージした、蔵造りの建物が並んでいます。各建物の中では、県庁各課の事業や、博物館や美術館など県立施設の魅力が紹介されています。

 

 

当館のブースは、稲荷山古墳の図から作ったデザインが映える、こちらの暖簾が目印です。

崎玉古墳群/さきたま史跡の博物館のブース前

埼玉古墳群/さきたま史跡の博物館のブース前。

 

中の展示は、当ホームページから埼玉古墳群や将軍山古墳展示館開館の基本情報を抜粋して掲載しています。

また、当館のブースにはちょっと驚くような独自の仕掛けもあります。

ヒントは「3D」です。皆様自身で確かめてみてください!

 

 

当館ブースの他にも、通りすがっていると埼玉の情報がたくさん目に留まります。

ぜひ探索してみてください!

 

バーチャル埼玉総合ページ

https://virtual-saitama.pref.saitama.lg.jp/

 

蔵造りブースへのリンク(入ると音が出ますのでご注意ください)

https://v-air.world/Rv3Xd2h/%E8%94%B5%E9%80%A0%E3%82%8A%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9b%E5%8C%BA%E7%94%BB01#fromsakitama

 
(広報・学習支援担当)

愛宕山古墳、発掘中です!       

 11月1日から愛宕山古墳の発掘調査がはじまりました。

 ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、愛宕山古墳は埼玉古墳群の中で最小の前方後円墳で、墳丘全長が54.7mです。同じく埼玉古墳群の中にある二子山古墳は武蔵国で最大の前方後円墳で、墳丘全長が132.2mもあります。比べてみるとその差がよくわかります。

 昭和56年に埼玉県教育委員会と行田市教育委員会によって2回調査が行われており、前方部南側調査区の東南部では内堀のコーナー部が確認されています。

 下記URLより報告書をご覧いただけますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

1985_埼玉古墳群発掘調査報告書第三集_愛宕山古墳_埼玉県教育委員会.pdf

 

 

 令和3年度には墳丘西側の調査が行われましたが、後世に改変を受けており、西側の外堀、内堀、造出し(=葬送儀礼の場と考えられる、墳丘に取り付く突出部)は確認できませんでした。しかし、2つのトレンチから旧表土(=古墳築造当時の地表面)を確認することができました。

 

 

 赤線間の層と上下の層で土色が異なることがわかるでしょうか?この赤線間の黒っぽい層が旧表土です。ここを境に上部が盛土で下部が地山(=人為的な手が加えられていない、基盤となる土層)です。

 

 

 そして今年度の調査では、墳丘南側(前方部)の周堀と墳丘北側(後円部)の墳裾の範囲を確認します。

 初日は、重機を使って「表土掘削」を行いました。新しい時期の表土を剥いで、遺構を確認します。

 

 遺構を壊さないように、学芸員立会いのもと慎重に掘り下げていきます。

 

 表土剥ぎが終わったら、遺構をしっかりと確認するためにトレンチの壁と床をきれいにします。これを精査と呼んでいます。

 精査の様子

      精査の様子

 

 

 こちらは土のう作りの様子です。土のうは、専用の袋に土を入れて縛ったもので、ブルーシートが飛ばないようにおもりとして使用したり、深く掘ったトレンチで階段として使用するなど、発掘現場では欠かせません。

土のう 土のうづくりの様子

 

今回は愛宕山古墳の概要と調査の駆け出し部分をお伝えしました。

 


まだまだ始まったばかりなので、今後も調査の様子をお届けします!